パラダイム

あなたの視点はどこにありますか?

ウサギは亀を抜かせない

はじめに

イソップ童話には、『ウサギと亀』の話が出てきます。『ウサギと亀が競争をし、先に進んだウサギは途中で居眠りを始め、目が覚めたときには亀がゴールしていた』というのがあらすじです。しかし、ウサギがゴールしていないなら、どうやっても亀には勝てないというロジックが作れます。

そのロジックは、

  • ウサギの速度が亀の5倍とします。
  • ウサギが亀のいる場所に到達したとき、亀はさらにウサギが来た距離の1/5だけ前進しています。
  • これを永遠に繰り返しても、ウサギが亀を追い越すことはない。

というものです。

感覚的に違うと思うでしょうが、この論理のどこが間違っているでしょう?

 

ウサギとカメ - Wikipedia

誤い

この誤いを指摘するためには、まずパラドックスの背後にある誤解を理解する必要があります。この考え方は ゼノンのパラドックス - Wikipedia と呼ばれるものに似ており、亀が前進し続ける限りウサギが亀に追いつくことはないという論理です。K^n(0<K<1)の値は0に近付きますが、0には永遠になりません。永遠のループに入り込むと抜け出すのには見方を、変える必要があります。

指摘すべき点

1. 無限分割の誤解:
   このロジックでは、距離を無限に小さく分割することを前提にしています。現実には、ウサギが亀に追いつくまでの時間と距離は有限であり、無限に分割することはありません。つまり、ある時点でウサギは亀を追い越します。

2. 相対速度の理解:
   ウサギの速度が亀の2倍であれば、ウサギは常に亀に対して相対的に5倍の速度で前進していることになります。したがって、ウサギが亀の進む速度の5倍で進んでいる限り、必然的に追い越す瞬間が来ます。

3. 具体的な数値の例:
   ウサギが時速10km、亀が時速2kmで進んでいると仮定します。もし亀が先に10km進んだ状態でスタートするなら、ウサギは1時間後にその10kmを追いつきます。その時点で亀はさらに2km進んでいますが、次の2kmを追いつくのにウサギは1/5の時間(12分)しかかかりません。永遠に続けるとウサギはさらに短い時間で亀いた場所にいますが、このりろんでは、ウサギは永遠にいた場所から15km先に行くことはありません。実際とは違ってきます。

ねずみ講

ねずみ講(ねずみこう)は、参加者が新たな参加者を勧誘し、その勧誘者からの加入金や商品の購入代金などを受け取ることによって利益を得るシステムです。このシステムは、通常は早期に参加した人が利益を得る一方で、後から参加する人々が損失を被ることが多いため、通常詐欺とみなされます。

その仕組みは以下の通りです。

  1. 最初の勧誘者(頂点):組織の頂点にいる人物が初めに他の人々を勧誘します。
  2. 新たな参加者の勧誘:参加者は自分の下に新たなメンバーを勧誘し、それぞれがさらに新たなメンバーを勧誘することを求められます。
  3. 加入金や商品の購入:新たに参加するメンバーは加入金を支払うか、特定の商品を購する必要があります。その半額を残し、本部に送ります。残った半額全体の1/4を自分を勧誘した人に送ります。
  4. 利益の配分:受け取った人はその額の半分を同じように勧誘した人に送ります。
  5. つまり、入った金額の半額を自分を勧誘して人に送ります。
  6. 4人を勧誘すればもとがとれます。自分が勧誘した人からも、その人が勧誘した人からも送金されます。膨大な人からお金が送られますので、大金持ちです。

しかし、会員数は17代で日本の人口を超えます。無限ループに陥地ます。これを変形したものが詐欺に使われます。

新興宗教

一つの論理にのめり込んだ場合、多くの場合無限ループが使われるのは、単純な理論で済むからです。一端嵌った理論から抜け出すのは大変です。

新興宗教も多用します。不運を嘆き勧誘された人を、再度不運が襲った時には『信心が足りない』と言ってさらなる信仰を求めます。時には、金品の額であったりします。ごく一部の幹部を除いて、お布施を要求する人も、品物を売る人も実態は知りません。部外者にはのめり込むことが不思議に見えますが、のめり込んだ人には、敵がまた嘘を言っていると思い、解脱はなかなかできません。オーム真理教はそのいい例のように思います。

さいごに

「ゼノンのパラドックス」は、形を変えて、詐欺事件などによく利用されます。直感的には「そんなことはありえない」と思っても、説明されると「そうだったのか」と納得します。それを見破るには、論理的に説明できる力が必要です。ネットやメディアの情報にも注意が必要です。「日本人が知らない」など新しい知見として、目を引きますが、多くはこんな理論に陥っています。

  • 批判的思考: 情報を受け取る際には、常にその内容を批判的に検討し、裏付けとなる証拠を確認すること。
  • 論理的な矛盾を見つける: 提示された論理に矛盾がないか、直感と整合性があるかを確認すること。
  • 専門家の意見を参考にする: 自分だけで判断が難しい場合は、専門家の意見を参考にすることが有効です。

このように、誤謬を指摘し正しい理解を持つことは重要です。これは詐欺や誤解を避けるための基本的なスキルです。