考え方

あるの視点から

経済活動と社会の変容

はじめに

現在の金融システムに至るまでに、3つの大きな変遷があったと考えられます。その3つは、

  • 貨幣の発明
  • 兌換紙幣の登場と兌換制度の廃止
  • 為替市場の成立

です。

これらに加えて、海運の発展が経済に大きなパラダイムシフトをもたらしました。今の経済はその延長線上にあり、インターネットの普及によって社会が急激に変化しています。ネット利用に関して日本は大きく遅れたと考えられています。

その対処として、これらの3つの事項を見直そうと思います。

 

 

貨幣

貨幣の発明は人類の歴史において重要な進展をもたらしましたが、その起源や発明者については不明な点が多く、最初の貨幣は紀元前3000年頃のメソポタミアに遡るとされています。これらは物々交換を補完する手段として発展しました。リディア王国で発明された最初の金属貨幣は、後に他の地域や文明にも広まり、貨幣制度が確立されました。貨幣には、交換の媒介、価値の尺度、保存性、分割可能性、普遍性といった要件があり、その導入は商業の発展、社会階層の分化、国家の強化、文化・文明の発展に大きく寄与しました。

現在の経済も、貨幣の成り立ちを基盤としており、GDPや長者番付などの経済指標もドルを基準に評価されています。

船の発明も人類の歴史において重要であり、木の幹をくり抜いた丸木舟や筏が最初の形態として紀元前8000年頃から使用されていたと考えられています。エジプトやメソポタミアでは紀元前3000年頃に帆船が使用され、フェニキア人やギリシャ人は地中海全域で商業活動を展開しました。船の発明は、貿易の拡大、移民と探検、戦争と軍事、そして文化の交流に大きな影響を与えました。

帆船 - Wikipedia

陸地で100キログラムを長期間移動させることは困難です。馬や牛、象でさえ1トン以上の運搬は難しく、食費がかかるうえに、病気のリスクもありますし、誰でも扱えるものではありません。しかし、船であれば比較的容易に操作でき、物資を同乗させるだけで運搬が可能です。船を大きくすれば運搬量を増やせますし、一度作ってしまえば、維持費も家畜に比べてずっと安く済みます。そのため、紀元前3000年ごろからはかなり広い区域で交易が盛んになったと思います。

交易 - Wikipedia

貿易史 - Wikipedia

日本の貿易史 - Wikipedia

縄文人 - Wikipedia

紙幣に登場

紙幣の価値は、その物質的価値ではなく、発行者(多くは国家)の信用と信頼、法定通貨としての地位、需要と供給、経済の安定性、国際的な信頼、そして購買力に依存しています。全員がその価値を認めることを確信しなけば額面通りに使えません。それには「全員が額面の価値を認めるだろう」と言う類推する能力が必要です。ホモ・サピエンスはその力を持っていました。

紙幣は信頼と信用を基に価値を持ち、その製造コストと額面価値の差額であるシニョリッジは、中央銀行や政府にとって重要な収益源となります。しかし、過度な紙幣発行はインフレのリスクを伴います。

為替

為替の歴史は、通貨や貿易の発展とともに進化してきました。その歴史は、

1. 古代の起源
為替の概念は、古代文明における貿易の発展とともに始まりました。古代メソポタミアやエジプトなどでは、異なる地域間での物々交換が行われており、貿易を円滑にするために初期の為替取引のような仕組みが使われました。当時は、商品や貴金属を担保にした信用取引が行われていました。

2. 中世の発展
中世ヨーロッパでは、商業活動の拡大に伴い、為替取引が重要性を増しました。この時期に、手形や為替手形といった信用文書が広まりました。これにより、商人たちは遠隔地での取引を行う際に現金を持ち歩かずに済むようになり、盗難や紛失のリスクを軽減しました。イタリアの都市国家や、ハンザ同盟の商人たちがこのような手法を発展させました。

3. 近代の銀行業と為替市場
17世紀から18世紀にかけて、銀行業の発展により、為替取引がさらに制度化されました。ロンドンやアムステルダムなどの金融センターが形成され、為替相場が市場の需給によって決定されるようになりました。これにより、異なる通貨間での取引がより効率的かつ安全に行われるようになりました。

4. 金本位制とその崩壊
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、主要国が金本位制を採用し、通貨の価値を金に固定することで為替相場の安定が図られました。しかし、第一次世界大戦後、各国は金本位制を放棄し、通貨の変動相場制が広まりました。

5. 第二次世界大戦

ブレトンウッズ体制により、各国通貨が米ドルに固定され、米ドルは金と交換可能とされました。しかし、1971年のニクソンショックにより、この体制が維持できなくなり、為替市場がつくられました。それ以降は自由変動相場制が主流となりました。現在では、為替市場は24時間稼働し、通貨の取引はグローバルな規模で行われています。

 

おわりに

現代社会は、貨幣価値を多くの人が信じることを基盤にしています。数値化することで、容易に比較できるからでしょう。さらに、為替換算によって、あらゆる種類の貨幣単位にも対応できます。その結果、個人の幸福は片隅に追いやられました。

私たちが生きる喜びは、抽象的なものですが、幸福に満ちた生活を送ることだと思います。しかし、数値化によって簡単に比較できることが重視されているように感じます。

 

フォーブス誌に載っていた、24年の世界の長者番付です。

順位 名前 資産額
    (10億$)
1 ベルナール・アルノー 233
2 イーロン・マスク 195
3 ジェフ・ベゾス 194
4 マーク・ザッカーバーグ 177
5 ラリー・エリソン 141
6 ウォーレン・バフェット 133
7 ビル・ゲイツ 128
8 スティーブ・バルマー 121
9 ムケシュ・アンバニ 116
10 ラリー・ペイジ 114
11 セルゲイ・ブリン 110
12 マイケル・ブルームバーグ 106
13 アマンシオ・オルテガ 103
14 カルロス・スリム 102
15 フランソワーズ・ベッテンコート・マイヤーズ 99.5
16 マイケル・デル 91
17 ゴータム・アダニ 84
18 ジム・ウォルトン 78.4
19 ロブ・ウォルトン 77.4
20 ジェンスン・フアン 77
21 アリス・ウォルトン 72.3
22 デイヴィッド・トムソン 67.8
23 ジュリア・コーク 64.3
24 鍾睒睒 62.3
25 チャールズ・コーク 58.5
26 ジョヴァンニ・フェレロ 43.8
27 プラジョゴ・パンゲストゥ 43.4
27 張一鳴 43.4
29 柳井正 42.8
30 フィル・ナイト 40.9