パラダイム

あるパラダイムを意識する

DNAの習性

                                              はじめに

私は、「人は神が作った」のではなく、進化していったと考えでいます。当たり前の話のように思いますが、アメリカには、旧約聖書を信じ、進化論は間違っていると考えている人が多くいます。日本でも「神」の末裔と考える人がいます。

私たちは、微生物とも血縁関係があります。また、自然淘汰の末に現在の生物になりました。ハラリ氏の「サピエンス全史」が世界的なベストセラーになったことで、ホモサピエンスの生き残った理由が話題となっています。この視点は私にも衝撃でしたし、うまく纏めていると思います。

       2重らせん構造の意味

デオキシリボ核酸 - Wikipedia

私たちは遺伝情報が書き込まれているDNAによって作られ、DNAは2重螺旋をしています。

DNAが二重らせん構造をとる理由はいくつかありますが、主に安定性、情報の保護、複製の効率が関係しています。

1. 化学的安定性

DNAはヌクレオチド(リン酸・糖・塩基)が連なった分子ですが、二重らせん構造をとることで、以下のような安定性を得ています。

  • 水に溶けやすい親水性の部分(リン酸基と糖)が外側に配置され、細胞内の水環境に適応。
  • 塩基(A, T, G, C)が内側に配置され、水と反応しにくくなり、化学的に安定。

    ヌクレオチド - Wikipedia

2. 情報の保護

  • 塩基(A, T, G, C)が内側に配置されることで、紫外線や化学物質による損傷を受けにくくなる。
  • らせん構造により、酵素などによる分解を防ぎ、遺伝情報が保護される。

3. 複製の効率

  • 相補的な塩基対(A-T, G-C)があるため、一方の鎖があればもう一方をコピーしやすい。
  • DNA複製時には、二重らせんがほどけ、それぞれの鎖を鋳型にして新しい鎖を合成できる。

4. コンパクトに収納できる

  • 二重らせん構造により、長いDNAをコンパクトにまとめることができる。
  • ヒストンというタンパク質に巻きつくことで、さらに折りたたまれ、細胞の核内に収められる。

              遺伝子と自然淘汰

生命がどうして出来たのかはまだ分かっていない。故に、その誕生を物語にしたものが神話で、宗教を生んできました。

地球の年齢 - Wikipedia

生命の起源 - Wikipedia

進化論を信ずる日本人が圧倒的に多いと思います。進化論は自然淘汰の概念を生みました。

ja.wikipedia.or

進化論裁判 - Wikipedia

長い年月にわる自然選択の積み重ねにより、私たち人類を含む現生生物が成立しました。個々の細胞は分裂時にDNA複製エラー(突然変異)を生じることがありますが、多くは細胞内のDNA修復機構や細胞周期チェックポイント、必要ならアポトーシス(予定された細胞死)によって修正・除去されます。さらに、自然免疫や獲得免疫による「免疫監視」は、異常なタンパク質(ネオアンチゲン)を発現する細胞を識別して排除する手段の一つであり、がんの発生を抑える役割を果たします。臓器移植における拒絶反応は、受け手の免疫系が移入組織の非自己性(主にHLA=MHC分子の不一致)を認識して起こる現象です。がん細胞はDNA修復や免疫監視の網をくぐり抜けることで増殖・浸潤を続け、免疫回避や免疫抑制の仕組みを獲得することがあります。一方で、花粉症などのアレルギーは本来無害な物質に対する過剰反応(主にIgEを介する即時型過敏反応)であり、リウマチのような自己免疫疾患は免疫が自己組織を誤って攻撃して慢性炎症を引き起こす病態です。したがって免疫は生体を守る重要な防御機構であると同時に、その制御が乱れると病気を招くという二面性を持っています。

          効率的なDNA

生物は長い進化の過程で、環境に最も適応した形質を残してきました。
同じ性能を持つ個体であれば、より軽いほうが機動性が高く、捕食や逃避の際に有利であり、生存率の向上につながります。さらに、生殖を通じて自らの遺伝情報を次世代に伝えることも、進化の根本的な目的といえます。一見奇妙に見える生殖行動であっても、それが種の存続に寄与している限り、淘汰の過程で維持されてきたのです。

このように、生物は環境に対してより効率的な構造と行動様式を獲得するよう進化してきました。
私たちホモ・サピエンスが高い知能を持つのも、その自然淘汰の結果です。およそ7万年前の「認知革命」によって、ホモ・サピエンスは言語を発達させ、抽象的思考・協調行動・未来予測などの能力を飛躍的に向上させました。知能を持つ生物は他にも存在しますが、ホモ・サピエンスは言語という強力な情報共有手段を得たことで、他の種に対して圧倒的な優位性を確立したのです。

また、同程度の知能を持つ場合でも、身体が軽く動きやすい方が生存に有利となります。体の大きさや構造も、環境とエネルギー効率のバランスによって決定されてきたと考えられます。

私たちは言語を通じて思考します。言語とは、グラデーションで連続する自然界の現象を、人間の認識の枠組みの中で「明確な概念」に区切ることで成立します。つまり、曖昧で連続的な世界を区分化する過程で、私たちは「ファジーな認識」と「明確な判断」を両立させる思考構造を発達させたといえるでしょう。

さらに、生物の構造にはフラクタル的な特徴が多く見られます。動物では血管や神経、植物では枝や根の分岐がその代表です。これらは、自己相似的な形態を持つことで、限られた遺伝情報から効率的に複雑な構造を作り出すことを可能にしています。すなわち、フラクタル構造は生物が「情報の最小化と機能の最大化」を両立させた進化の成果だと考えられるのです。

認知革命 - Wikipedia

認知言語学 - Wikipedia

           自然淘汰

自然淘汰ナチュラル・セレクション)は、ダーウィンが提唱した進化の基本原理の一つであり、環境に適応した個体が生存・繁殖しやすくなるというメカニズムです。生存や繁殖に有利な形質を持つ個体のDNAが次世代に引き継がれ、結果として生物集団全体が環境に適応する方向へと進化していきます。

          DNAと自然淘汰

DNAは生物の設計図であり、その情報の効率的な伝達や維持は生命の存続にとって極めて重要です。自然淘汰の影響を受ける中で、DNAの効率性が高まる要因はいくつかあります。

1. エネルギー効率の向上

DNAの複製や修復にはエネルギーが必要です。無駄な塩基配列ジャンクDNA)が減少することで、エネルギーの浪費を抑え、効率的に遺伝情報を維持できるようになります。

2. 突然変異の影響の最小化

DNAは突然変異によって変化しますが、その多くは有害です。自然淘汰は、無駄な情報やエラーが少ない遺伝子配列を選び、結果としてエラーの発生頻度を抑える方向に進化を促します。

3. ゲノムの圧縮と情報の最適化

細菌やウイルスのような生物は、最小限のDNAで最大限の機能を発揮するよう進化しています。例えば、ウイルスは宿主の細胞を利用することで、自らが持つDNAを短縮しつつ生存に必要な遺伝情報を保持しています。

4. 遺伝子のモジュール化

生物のDNAは、機能的に独立したモジュール(遺伝子群)として整理され、環境の変化に適応しやすい構造になっています。例えば、環境に適した特定の遺伝子がスイッチのようにオン・オフすることで、生存戦略を柔軟に変更できます。

現代の視点:人工選択と遺伝子編集

自然淘汰は長い時間をかけて生物を進化させますが、現代では人工選択や遺伝子編集技術によって、人為的にDNAの効率性を向上させることが可能になっています。

  • 人工選択(品種改良): 人間が意図的に特定の形質を持つ個体を選び、次世代へ伝えることで、生物の進化を加速させています。

  • 遺伝子編集(CRISPR技術):不要な遺伝子を削除したり、新たな機能を付与することで、DNAの効率性を飛躍的に向上させる試みです。こうした遺伝子の改変は、もともとウイルスが自然界で行ってきたと考えられています。しかし、長い時間をかけて、問題のある種は淘汰されてきました。人工的な改変の影響も、短期間では判断できないでしょう。

           さいごに

DNAが二重らせん構造を持つのは、化学的安定性を維持し、遺伝情報を保護し、効率的な複製を可能にするためです。これは、生命が長い進化の過程で獲得した最適な構造と考えられます。  

細胞分裂の際、DNAは正確に複製されることで遺伝情報を受け継ぎます。生物のDNAは、自然淘汰によって環境に適応しながら最適化され、無駄な情報の削減や遺伝子の整理といった効率化のメカニズムを備えています。これは、生存競争を勝ち抜くために重要な要素です。現代の科学技術はこの自然の仕組みを人為的に強化することを可能にし、遺伝子研究の進展は生命の進化やDNAの効率性に関する新たな発見をもたらすことが期待されています。  

私たちの存在は遺伝子によって形作られ、魂(意識)ですら化学反応の積み重ね、つまり「システム」にすぎません。しかし、このシステムは形を持たないため、しばしば誤解されます。例えば、タイム・トラベルに関しても、物理現象としての可能性と、意識の問題は分けて考える必要があります。  

生物もまた、種が生き延びるために最適化された無駄のないシステムです。しかし、この「システム」への理解は未だ十分ではなく、番組『フランケンシュタインの誘惑』にもその一端が見られます。「システム」という概念は多岐にわたり非常に難解であり、現在でもそれを正しく理解していない「専門家」が多いのが現状です。その一方で、場の空気を読むことに長けた人物がマスコミで注目される傾向があるように思われます。

システム科学 - Wikipedia

一般システム理論 - Wikipedia