はじめに
日本は「資源がない国」とよく言われます。政治家の発言や教科書でも、そのように説明されることが一般的です。しかし、「資源」とは何でしょうか?。
石油や鉄鉱石といった近代工業に必要な資源に限れば、日本は確かに輸入依存の国です。しかし歴史的に見ると、日本はむしろ非常に豊かな資源を持つ国であるのではないかと思うます。
本稿では、日本の「資源」を捉え直し、多くの人が「資源のない国 日本」と思っている現状を考察します。
水資源と地政学
日本列島は、南北に細長く連なる火山列島です。海上を流れる暖流である黒潮の影響によって、湿った空気が大量に供給されます。この空気が列島の山地にぶつかり上昇することで雲が形成され、各地に豊富な降水をもたらします。
一方、同じ緯度帯にある大陸内部では、海に近い山脈で雨が降り尽くし、乾燥した空気が内陸へ流れ込むため、砂漠地帯が広がる傾向があります。日本の多雨な気候は、海流と地形が組み合わさった結果といえます。
また、日本列島は主に火山活動によって形成された岩石から成り、隆起サンゴ礁のような石灰質地形は限られています。そのため土壌は酸性に傾きやすく、骨などの有機物が残りにくい環境です。これは縄文時代の研究が難しい一因ともなっており、限られた遺物などで言えること限られています。
日本における最も基盤的な資源は「水」です。年間降水量は世界平均のおよそ2倍に達し、山地の多い地形によって水の循環が効率よく保たれています。
この豊かな水は、単なる飲料水にとどまらず、稲作を中心とした農業の基盤となり、味噌・醤油・酒といった発酵文化を支え、さらに高い衛生環境の維持にも寄与してきました。これらが交じり合い日本文化の基盤となっています。
日本では古くから水が潤沢であったため、「湯水のごとく」という言葉が示すように、それを特別な資源として強く意識することは少なかったといえます。しかし世界的に見れば、この安定して利用できる水環境は極めて貴重です。

火山列島=日本
日本は火山列島ですので、地震や噴火といった災害が多い一方で、豊かな資源も生み出しています。
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地熱エネルギー
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金・銀・銅などの鉱物
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温泉
歴史的には、日本は金銀銅の産出量で世界でも有数の国でした。これらが、明治以降の経済発展を支えました。現在の産出国の方が人件費・物価などに対抗できる鉱脈はほとんど取尽くしてほとんどが廃坑になりました。
火山活動は「危険」であると同時に「恵み」でもありました。

土壌と森林の資源
火山灰からなる土壌は、必ずしも肥沃とは言えませんが、
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水はけが良い
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加工しやすい
という特徴があります。
これにより、
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陶磁器などの窯業
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木造建築
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漆器などの工芸
が発展しました。春は桜と新緑であり、夏の木々は濃い緑に変わり、秋が深まれば紅葉落ち葉であり、葉を落とした木々と4季で風景が移るのも広葉樹を中心とした森が豊富な為です。
また、日本は国土の約7割が森林であり、木材や燃料といった形で長く人々の生活を支えてきました。

海というもう一つの国土
日本は島国であり、広大な海に囲まれています。その周囲には非常に広い排他的経済水域が存在し、実質的には「海も国土の一部」と考えられます。
この海は、
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豊富な魚介類や海藻
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多様な生態系
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海底資源(メタンハイドレートやレアアースなど)
といった大きな可能性を持っています。
さらに、暖流と寒流が交わることで、世界有数の漁場が形成されています。

なぜ「資源がない」と言われるのか
ではなぜ、日本は資源がないとされるのでしょうか。それは近代以降の産業構造に理由があります。
現代の工業社会では、
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石油
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天然ガス
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鉄鉱石
といった地下資源が重要視されます。日本はこれらに乏しいため、「資源がない国」と定義されてきました。しかしこれは、「特定の資源に限った評価」に過ぎません。
再生可能資源という視点
日本の資源の特徴は、
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水
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森林
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海
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地熱
といった「再生可能資源」が中心であることです。これらは枯渇しにくく、持続的に利用できる資源です。一方で、石油などの化石燃料は有限であり、いずれ枯渇します。
この視点に立てば、日本はむしろ「持続可能な資源に恵まれた国」と言えます。

「資源の有無」ではなく「使い方」
日本の問題は、資源がないことではありません。
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地熱発電は温泉との調整が難しい
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漁業は資源管理の問題を抱えている
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再生可能エネルギーは制度面の制約が大きい
つまり、
資源はあるが、活かしきれていないという状況です。
おわりに
日本は確かに、石油などの近代的資源には恵まれていません。しかし、
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水
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海
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森林
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地熱
といった資源は極めて豊富です。言い換えれば、日本は「人が生きるための資源には恵まれている国」です。
そしてこれからの時代は、有限な資源ではなく、持続可能な資源が重要になります。
その意味で、日本の価値はむしろ再評価されるべき段階に来ているのではないでしょうか。
日本は「資源がない国」なのではなく、「資源の見方が一面的に語られてきた国」なのかもしれません。