はじめに
ここでは実用的なお話をします。
株式投資で安定して利益を残すには、市場全体の動向を読む“マクロ視点”と、企業の実力を見極める“ミクロ視点”の両方が不可欠です。ここでは、デイトレでも長期投資でも役立つ「取引前のチェックリスト」と「銘柄選定で必ず見るべき指標」をまとめて解説します。
主要経済指標
| 指標 |
分野 |
性質 |
重要度 |
概要 |
| 米ISM製造業景況指数 |
景気 |
先行指数 |
★★★ |
製造業の受注・雇用など景況感。先行性が高い。 |
| 米ISM非製造業景況指数 |
景気 |
先行指数 |
★★★ |
サービス業中心。米経済の大部分を占める。 |
| 米小売売上高 |
消費 |
一致指数 |
★★★ |
百貨店やスーパーの売上動向。消費の勢いを反映。 |
| 米雇用統計 |
雇用 |
遅行指数 |
★★★ |
非農業部門雇用者数など。市場最大級の注目度。 |
| フェデラルファンド金利 |
金融 |
金融 |
★★★ |
FRBが誘導する政策金利。世界の相場を左右。 |
| 米2年債利回り |
金融 |
金融 |
★★★ |
金融政策の先行きを反映しやすい。 |
| 米住宅着工件数 |
住宅 |
先行指数 |
★★ |
景気の初動に反応しやすい住宅指標。 |
| 失業保険新規申請件数 |
雇用 |
先行指数 |
★★ |
週次で雇用の変化を素早く捉える。 |
| 消費者物価指数(CPI) |
物価 |
遅行指数 |
★★ |
インフレ動向を示す。金融政策の判断材料。 |
取引所が開く前に
① 前日の米国市場(NYダウ/ナスダック)
日本株の寄り付きに最も影響するのが米国株です。アメリカでは日本時間の 23時30分~翌日の6時00分 ニューヨーク証券取引所で、取引が行われています。ただし、3月の第2日曜日~11月の第1日曜日までは サマータイムとして 22:30 - 05:00になります。
アメリカのを動向をnyダウ・Nasdaq・S&P500の終値でチェックします。
| 指数 |
特徴 |
日本株への影響 |
| NYダウ |
優良30銘柄。市場全体のムードを反映。 |
市場心理に影響。 |
| ナスダック |
IT・半導体中心。 |
日本のハイテク株に直結。 |
ポイント
ナスダックが大幅上昇の日は、日本のハイテク関連も買われやすい。
(ハイテク株はナスダックに運命共同体の誓いでも立てているのか、というほど連動します。)
② 早朝のドル円レート
為替は日本株、とくに輸出企業に直撃します。
| 為替の動き |
輸出企業 |
外国人投資家 |
日本株 |
| 円安/ドル高 |
利益が増える |
日本株が「割安」に見える |
プラス要因 |
| 円高/ドル安 |
利益が減る |
日本株が「割高」に見える |
マイナス要因 |
③ その日の経済指標スケジュール
午前中の重要指標(鉱工業生産、日銀短観など)は相場を動かすため、発表時間の把握は必須です。また、米10年債利回りもチェックします。
金利急騰 → ハイテク株が下落しやすい/金融株は強くなる傾向があります。
(相場は金利に弱い…恋愛での“温度差”くらい効きます。)
個別銘柄の為の指標
市場全体が良くても、最終的な利益は銘柄選びで決まります。まず押さえるべきは PER と PBR の2つです。
PER(株価収益率)― 利益から見た割安性
PER = 株価 ÷ 1株あたり純利益(EPS)
-
数値が低いほど割安(一般に15倍以下は低め)
-
過去平均、業界平均と比較して評価する
読み方のポイント
※PERだけで「割安だ!」と飛びつかないこと。
「安物買いの値下がり株」という悲劇は避けたいところです。
PBR(株価純資産倍率)― 資産から見た割安性
PBR = 株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)
1以下は資産を処分した価格と株価総額が同じという事で、企業価値はゼロとなります。
PBRの注意点
低いから「宝の山」というわけではなく、本当に割安なのか、それとも“割安に見えるだけの会社”なのかは要確認。(PBRが0.3倍でも、「理由が0.3倍」ということはよくあります。)
企業の実力指標
1. ROE(自己資本利益率)― 株主のお金でどれだけ稼げるか
ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本
-
高いほど「同じ資本で効率よく稼いでいる」企業
-
一般に 10%以上で優秀、8%前後で合格ライン
ROEが重要視される理由
ROEを見ると、その企業が“株主のお金をどれだけうまく増やせているか”がわかります。
※薄利多売でROEが低い企業より、少数精鋭で高い利益率を持つ企業の方が株価は伸びやすい傾向があります。
2. ROA(総資産利益率)― 会社全体の資産を使ううまさ
ROA = 当期純利益 ÷ 総資産
借入を増やして事業を拡大すると、多くの場合ROAは下がりやすくなります。
それは ROA の式
ROA = 利益 ÷ 総資産
借入を増やすと
→ 総資産が増える(=分母が大きくなる)
→ 利益が同じなら ROAは下がる
会社が”ムダな資産だらけ”かどうかも分かるため、ROEとセットで見ると、企業の本当の効率が浮き上がります。
利益が出ていても、現金が増えていなければ意味がありません。
営業CFは 本業でキャッシュを生み出す力 を示します。
チェックポイント
(会計上の利益だけで投資すると、“実体のない黒字”に泣かされます。)
倒産しにくさの指標です。
自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 × 100
-
40%以上:安心感がある
-
20〜40%:一般的
-
20%未満:財務的に少し心配
借金頼みの会社は、景気後退や金利上昇に弱くなります。設立時はやむ得ませんが、設立から10年以上経っても借り入れが多いのは考え物です。ただし。長期に亘り攻め続けている成功例もあります。
成長性を見る指標
1. 売上高の成長率
(売上が安定して右肩上がりの企業は、チャートも右肩上がりになりやすい…株の世界の“重力の法則”みたいなものです。)
2. 営業利益率
営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高
営業利益率は、「その業界で戦う才能」みたいなものです。
以下に各銘柄の株価指標を表にまとめました。
| 株式パフォーマンス指標 |
| 指標 |
意味 |
計算 / 鑑定方法 |
見方 |
注意点 |
| 株価 |
企業への期待・需給を反映した価格 |
市場の売買で決定 |
上昇=期待、下降=懸念 |
単体で見ても意味が薄い。過去株価との比較が重要 |
PER 株価収益率 |
利益に対する株価の割安/割高度 |
株価 ÷ EPS |
低い=割安、高い=期待先行 |
業種ごとに基準が違う。赤字企業では意味なし |
PBR 株価純資産倍率 |
資産に対する株価の割安/割高度 |
株価 ÷ BPS |
1倍未満=割安とされることが多い |
資産の質が悪い会社は低くても危険 |
ROE 自己資本利益率 |
出資者のお金でどれだけ稼いでいるか |
当期純利益 ÷ 自己資本 |
高いほど効率的 |
高すぎる場合、負債で無理にレバレッジしている可能性 |
| ROA総資産利益率 |
総資産(会社全体)を使う効率 |
当期純利益 ÷ 総資産 |
高い=資産を有効活用 |
借入が多い企業はROEに比べROAは低くなる |
EPS 1株利益 |
株主1株あたりの利益 |
純利益 ÷ 発行株式数 |
高いほど良い |
自社株買いで人工的に上がることがある |
BPS 1株純資産 |
株主1株あたりの資産 |
純資産 ÷ 発行株式数 |
安定性の目安 |
将来利益を反映しないため成長株では弱い |
| 配当利回 |
株価に対する配当の割合 |
年間配当 ÷ 株価 |
高い=収益性良い |
極端に高い銘柄は無理している可能性あり(罠) |
| 配当性向 |
利益のうち配当に回す比率 |
配当総額 ÷ 当期純利益 |
適正は30–50%程度 |
高すぎると将来投資できず成長力が落ちる |
| βベータ値 |
市場全体との連動度 |
統計的に算出 |
1超=値動き大きめ、1未満=安定 |
未来の値動きを保証しない |
| 出来高 |
取引の活発さ |
売買株数 |
多い=注目度高い |
仕手株の異常出来高は危険信号 |
| 時価総額 |
企業規模を示す値 |
株価 × 発行株式数 |
大=安定、小=成長余地 |
株価だけでは判断できない |
| 自己資本比率 |
財務健全性 |
自己資本 ÷ 総資産 |
高い=倒産しにくい |
低すぎると借金依存で危険 |
| 営業利益率 |
本業の収益性 |
営業利益 ÷ 売上高 |
高いほど本業が強い |
特殊要因で変動することあり |
キャッシュフロー CF |
現金の余裕 |
営業CF – 投資CF |
プラス=健全 |
一時的な投資でマイナスもあり得る |
チャート
銘柄を選ぶとき、ファンダメンタル(企業の中身)と並んで重要なのがチャートです。
以下は、初心者でも一瞬で判断できるシンプル・チェック。
① 上昇トレンドか?(右肩上がり)
-
200日移動平均線が右肩上がり
-
株価がその上に位置している
これだけで勝率は大幅に上がります。
逆に、右肩下がりの銘柄は“逆風の坂道ダッシュ”状態。
② 出来高が増えているか?
-
出来高増 → 投資家が注目しているサイン
-
株価上昇+出来高増 → 本物の上昇トレンド
(出来高ゼロの銘柄は、会議室で誰も発言しないようなもの…静かすぎて不安です。)
-
小型株:上がりやすいが下がりやすい
-
大型株:堅実だが大きなジャンプはしにくい
投資スタイルに合わせて選ぶのがポイント。
総合判断のすすめ
良い銘柄は
PER、PBR、ROE、営業CF、チャート
など複数の項目が“そこそこ以上”で揃っています。
逆に、1つだけ突出して良くても他がボロボロなら注意が必要です。
株選びは料理と同じで、「塩だけが極上」でも美味しくはならないのです。
株価は、その値段である理由があります。理由を探りましょう。
実践編:銘柄を選ぶための最短ルート
以下は、プロ投資家も使う 王道のチェック手順 を、ムダなく最適化したものです。
① まず、チャートで“ふるいにかける”
いきなり決算書に飛びつくより、チャートで候補を半分まで絞るほうが効率的 です。
最初に落とすべき銘柄
次のどれかに当てはまったら即パス。
-
200日線が右肩下がり
-
出来高が極端に少ない
-
急騰→急落を繰り返す不安定銘柄
-
長期的にボックス(横ばい)で動きが乏しい
これは投資の“地雷除去”です。
地雷原に踏み込んでから考えるより、避ける方がいいと思います。
② 時価総額で方向性を決める
投資スタイルに合わせて選択。
| 投資スタイル |
向いている時価総額 |
| 安定重視・堅実 |
大型株(1兆円〜) |
| ほどほど成長 |
中型株(1000億〜1兆円) |
| 成長狙い |
小型株(〜1000億) |
小型株はテン bagger(10倍)候補もいますが、動きが激しすぎるので体力が必要です。
③ 業界を決める
株は「良い企業」より“追い風の業界”の企業を選ぶ方が勝率が高い。
たとえば…
-
半導体 → 世界的に設備投資が拡大
-
旅行・レジャー → 円安メリット
-
銀行 → 金利上昇局面の追い風
-
建設 → 政府の補助金で需要増
-
AI・クラウド → 世界的な成長産業
風向きが良い業界に乗るのは、マラソンで自転車に掴まるぐらい楽になります(もちろんルール違反ですが気持ちはそんな感じです)。
④ 個別企業の“中身”を見る
ここから、選んだ銘柄が 本当に強い会社か を判断します。
1. 成長性(売上・利益)
-
売上高が3〜5年連続で伸びているか
-
営業利益率が高い or 上昇基調
※業績が右肩上がりなら、株価も時間をかけて右肩上がります。
2. 収益性(ROE・ROA)
-
ROE 10〜15%以上:理想
-
業界平均より高ければ合格
数字の高さ=経営センスの高さです。
3. 割安性(PER・PBR)
-
PER:業界平均と比較
-
PBR:1倍割れは割安の可能性
ただし、理由が“期待されていない”だけなら危険。
「低PBRのまま不人気」が続く銘柄もあります。
4. 財務の健全性
無理な拡大をすると、好景気で元気でも不景気で倒れます。
5. 営業キャッシュフロー(営業CF)
-
継続的にプラスか
-
利益より営業CFが大きいと優良企業の可能性
現金は嘘をつきません。利益が化粧されていても、キャッシュフローはごまかせません。
⑤ 最後にチャートでタイミングを判断
ここまでで「買うべき企業」は見えます。
あとは、“いつ買うか”の問題。
最低限の基準は以下。
▼ 良いエントリータイミング
-
25日線を上抜けしてきた
-
出来高が増えている
-
押し目(短期調整)で下げ止まったところ
-
直近の高値をブレイク
逆に、上げきった後の「高値掴み」は避けましょう。
まとめ
ここ3年は時々調整はしますが、右肩上がりです。現在は5万円です。誰でも株式で、利益が出ています。株式投資を5年程度の人の話は異常値を基にしてるかも知れません。
バブル景気ではほとんど全ての人が「まだ上がる」「ちょっと大きい調整をしているだけだ」と思い、非常に大きい損失をこうむりました。異常な年である1889年直前の1988年はほぼ3万円でした。年2%づつ上がるとして、複利計算をすると35年間で倍です。こう見ると現在の株価が異常に高いとは見ません。さて、どうなるのでしょう。
大きく上げれば大きく下がり株価は調整して行きます。「まだ」は「もう」なり「もう」は「まだ」なり、その時期は誰にも解りません。分かればだれでもビリオネラです。
最近の日本株高はインフレ=物価上昇によるところが大きいですが、35年間近く続いた低成長で、株価が上がっていなかったこともあると思いますが、予想(架空)です。だから市場であり、株式投資の面白さです。

-
チャートが右肩上がりか確認
-
時価総額で投資スタイルに合うか判断
-
追い風の業界を選ぶ
-
売上・利益の成長をチェック
-
ROE・ROAで収益性を確認
-
PER・PBRで割安性を比較
-
営業CF・財務状況をチェック
-
チャートでエントリータイミングを決定
この流れで選んだ銘柄は、「勝ちやすい銘柄」になるだろうと期待しています。
伸びるであろう企業は読めますが、株価は高くなっています。相場が読めれば誰でも億万長者になれます。倒産する企業もありますが、そこそこの規模であれば、徐々には成長します。なので、長期には株価は少しだけ右肩上がりですし、配当もあります。ここ3年の日本株はインフレ率が高い事もあり、異常に上昇しましたが、これからも長期には上昇傾向であることを信じて株式投資を行っています。公表されている指標の見方をこのブログで纏めてみました。少し下もお役に立てたら幸いです。
株式情報サイト:私が見ている株式情報サイトです。先物は多くのことを織り込んでいると思い、取引所が開く前にいつも参照しています。このサイトにはアメリカ始め海外の取引所状況・為替相場・コモディティ・国債金利なども見ることが出来るので重宝しています。
fiscoは登録する事が必要ですが、スクリーニングが出来ます、制限はありますが無料会員登録もあり、私も無料会員です、Yahooファイナンスは多分一番メジャーだと思います。
私はSBI証券で口座開設をしていて、日経先物サイトとSBI証券の開設者向けのサイトがほとんどです。