はじめに
近年、「オールドメディアは信用できない」「SNSこそ真実だ」といった意見を目にする機会が増えました。
一方で、国境なき記者団(RSF)が毎年公表する「報道の自由度ランキング」では、近年の日本は70位前後と、先進国の中では飛びぬけて低く評価されています。この結果だけを見ると、「日本の報道は信用できない」と受け止める人もいるかもしれません。しかし、このランキングは報道内容の真偽を評価したものではありません。

報道の自由度ランキングが示しているもの
RSFが評価しているのは、記者が自由に取材できる環境があるか、政府や企業から圧力を受けていないか、情報公開が十分か、自己検閲が生じていないかなどです。
つまり、日本の順位の低さは、報道機関の取材環境や記者クラブ制度、権力との距離などに課題があることを示しているのであり、「新聞やテレビが嘘ばかり報じている」という意味ではありません。
もちろん、日本のマスメディアにも問題はあります。誤報や偏った報道が起こることもあります。忖度して、重要な事実であっても報道しないことも多くあります。しかし、多くの報道機関では複数人による編集や事実確認が行われ、誤りが判明すれば訂正や謝罪を行う仕組みがあります。決して完璧ではありませんが、社会的責任を負って報道している点は見落としてはならないでしょう。
「オールドメディア」という言葉の広がり
近年では、新聞やテレビを一括して「オールドメディア」と呼び、全面的に否定する風潮も見られます。
しかし、マスメディアを批判するサイトや動画の多くは、十分な検証を行わずに情報を発信したり、憶測を事実のように扱ったりしていて、メディアにより批判された記事も見られます。
「既存メディアは嘘だらけ」「自分たちだけが真実を知っている」「マスメディアでは放送できない」といった主張には、自分たちへの支持を集めるために、人々の不満や不信感を巧みに利用していることがあります。
中には、世論形成やイメージ操作をビジネスとして行う企業や組織も存在します。情報は善意だけで流通しているわけではなく、自己利益や影響力を目的として発信されるケースもあることを理解する必要があります。親しくもない人に儲け話が来ることは絶対にありませんし、ここだけの話をSNSに発信することもありません。メディアが報道しないのは、多くの場合検証すると疑問となる内容です。
SNSは便利だが、情報の信頼性は低い
SNSは誰もが情報を発信できる画期的な仕組みです。その一方で、SNSを運営している会社は営利企業です。
多くのSNSでは、広告収入が主な収益源となっています。そのため、利用者が長く滞在し、多くの投稿を見るほど発信者の利益が増える仕組みになっています。
そこで、利用者が興味を持ちそうな内容を優先して表示します。逆に、自分の考えと異なる情報や、不快に感じる可能性のある情報は表示されにくくなる傾向があります。
この結果、自分と似た考え方ばかりに囲まれる「エコーチェンバー」や、自分の考えを裏付ける情報だけが集まる「確証バイアス」が強まりやすくなります。
私たちは知らないうちに、自分の考えが支持されていると、錯覚してしまう危険性を抱えているのです。

「再生回数」が価値になる時代
さらに問題なのは、SNSでは再生回数やクリック数そのものが収益につながることです。
そのため、できるだけ目立つタイトルやサムネイルを作り、驚きや怒り、不安をあおる情報が拡散されやすくなります。
「衝撃の真実」「テレビが報じない秘密」「今すぐ見ないと損」「外国人が人を殺した」といった刺激的な表現は、多くの場合、クリックしても内容が伴わない「羊頭狗肉」の記事であったり、嘘だったりします。
中には事実確認が十分でない情報や、明らかな虚偽、陰謀論まで含まれています。
最近は対話型AIが一般化し、誰でも無料で、画像改変が即座に出来ます。
人間は生き延びるために、情報を使っていました。なので、冷静な情報よりも刺激的な情報や被害的な情報に注意を向けやすい傾向があります。それゆえこのような投稿ほど拡散されやすいという皮肉な結果となります。特に危険を知らせる内容は早くみんなに知らせなくてはならないと、善意でありながら、検証せずに再発信します。

情報リテラシーの重要性
現代では、新聞やテレビだけが情報源だった時代とは異なり、誰もが発信者になれます。これは大きな自由をもたらしましたが、同時に「誰でも誤情報を広められる社会」にもなりました。
だからこそ、「テレビだから正しい」「SNSだから真実」「オールドメディアだから嘘」と決めつけることは危険です。
情報を受け取る私たち自身が、
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情報源はどこか。
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一次情報に基づいているか。
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他の複数の情報源でも確認できるか。
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感情だけを刺激する内容ではないか。
といった点を意識しながら情報を読み解く姿勢が求められています。

おわりに
報道の自由は民主主義に欠かせない重要な基盤です。同時に、その自由を支えるのは、報道機関だけではありません。
SNSが社会の中心的な情報源となった今、私たち一人ひとりが情報を見極める力(情報リテラシー)を身につけることが、これまで以上に重要になっています。
情報があふれる時代だからこそ、「誰が言ったか」ではなく、「何を根拠に言っているのか」を考える姿勢が、健全な民主社会を支える最大の力になるのではないでしょうか。























