考え方

あるの視点から

酒文化の多様性

はじめに

ここでは日本酒に関わる言葉「地酒」「下り酒」と、日本酒に似て米を醸造する 味醂どぶろく に ついて解説します。

地酒

地酒は、その名の通り「地元で作られた酒」を指します。現在でも広く使われており、各地域ごとの伝統や風土に合わせた製法と原料を使って作られた酒を意味します。地酒は、その地域で栽培される米や水、気候条件が反映されるため、地方ごとに風味や味わいが異なり、地元の人々に親しまれるだけでなく、観光客にも人気があります。

下り酒

「下り酒」とは、江戸時代に上方(現在の京都や大阪周辺)から江戸に運ばれた酒を指します。当時、江戸では「酒は三州」と呼ばれ、灘、伏見、伊丹の三つの地域が高品質な酒を生産することで有名でした。

  • 灘(なだ): 現在の兵庫県神戸市周辺で、宮水(みやみず)と呼ばれる良質な水を使用して酒造りが盛んでした。灘の酒は「灘の生一本」として知られるほど高品質を誇りました。
  • 伏見(ふしみ): 現在の京都市伏見区で作られた酒は、柔らかでまろやかな味わいが特徴で、「女酒」とも呼ばれました。
  • 伊丹(いたみ): 現在の兵庫県伊丹市。酒造りの歴史が古く、江戸時代には「伊丹の酒」として特に高く評価され、下り酒として江戸に運ばれました。

上方から運ばれた下り酒は、江戸の富裕層や特権階級に特に人気があり、その高い品質が評価されていました。特に当時は、作り立てよりも時間を置いた方が美味しさが増すとされていました。現在では、トラックや鉄道での運搬が主流ですが、江戸時代までは海路が主要な交易手段として重要視されていました。

味醂(みりん)、どぶろく、そして日本酒の違い

味醂(みりん) 味醂は、米を発酵させて作る甘口の酒で、現在は主に調味料として使われていますが、かつては飲用されることもありました。製造にはもち米、米麹、焼酎やアルコールが使用され、発酵によって生成される糖分により甘味が強くなります。アルコール度数は14%程度で、料理に使うと照りやつやを出す効果があります。味醂と日本酒は、米麹を使う点で共通していますが、味醂は主に調理用、甘味を引き出すために焼酎が加えられるなど、製法が異なります。

どぶろく どぶろくは、濾過しないで発酵中のもろみをそのまま飲む伝統的な濁り酒です。米粒や麹が混ざったままで、甘味や酸味、アルコールの風味が強く残ります。アルコール度数は6〜12%程度で、種類によって異なります。現代の日本酒が発酵後に濾過されるのに対し、どぶろくは濾過せずに提供されるため、米粒の存在がその特徴です。

味醂どぶろくと日本酒の関係

  • 味醂は、日本酒に比べて甘く、現在は主に調味料として使われますが、かつては甘い飲酒としても楽しまれていました。
  • どぶろくは、日本酒の初期段階の濁り酒として、米粒や麹が残った状態で飲むため、日本酒の透明で洗練された形とは異なる特徴を持ちます。

みりん - Wikipedia

どぶろく - Wikipedia

いずれも米を原料とする発酵酒であり、それぞれが異なる製法や目的を持って発展してきた酒です。

 

さいごに

酒にまつわる話でした。こういった知識が、酒のサカナになればいいと思います。