ある考え方では

あるの視点から

記号と文字の違いについて

はじめに

 
アルタミラ洞窟には約3万6千年前の洞窟画が残されており、現在では世界遺産に登録されています。ホモ・サピエンスは古くから絵を描いていたことがわかります。絵にするとは、3次元のものを2次元する作業で、抽象化する事が必要です。抽象の概念が出来ていたことが解ります。

記号は絵を簡略化したものであり、絵をさらに抽象化していてます。記号を用いる際には、情報を簡略化しつつ、他者に伝達するという目的が含まれています。他者が同じ意味を共有すると仮定することで、記号には抽象化と集団的な認識が求められるのです。集団を作るには、その集団の内と外を区別し、集団への帰属意識が必要です。

一方で、文字は言語と結びつき、記憶を固定化し、何世代にもわたって情報を伝える役割を果たします。絵、記号、文字はそれぞれ目的や機能、使用される文脈に応じて異なりますが、これらの違いは文化の発展や成熟度を示す重要な指標の一つでもあります。そのため、これらの要素をどう捉えるかは、文化の理解や歴史的考察において非常に重要なテーマとなります。

目的と役割

  • 記号
    記号は概念や意味を直接表現するためのものです。一般に、言語の文脈に依存せず、視覚的または抽象的な意味を持ちます。

    • 例: 数学記号(+、=、∞)、矢印(→)、音楽記号(♯、♪)など。
    • 目的: 情報の簡略化、象徴化。
  • 文字
    文字は言語を構成する基本要素で、音声言語を記録・伝達するために使用されます。

    • 例: アルファベット(A, B, C)、ひらがな(あ、い、う)、漢字(木、山)など。
    • 目的: 言葉や文章を記述する。

文脈依存性

  • 記号
    記号は、特定の文脈で意味が決まることが多いです。例えば、数学では「+」は加算を意味しますが、他の文脈では装飾的なデザインとみなされる場合もあります。

    • 文脈に応じて解釈が変わる。
  • 文字
    文字は、その言語体系の中で音や意味が一貫して決まっています。アルファベットの「A」は常に同じ音や役割を持つため、文脈に影響されにくいです。

    • 言語体系に依存する。

単体 vs. 組み合わせ

  • 記号
    記号は単体で意味を持つことが多いです。例えば、「→」は「方向」を示し、それだけで十分な情報を伝えます。

  • 文字
    文字は通常、他の文字と組み合わせて単語や文章を形成し、その結果として意味を生み出します。単体では音や基本的な意味しか持たない場合が多いです。

視覚的デザイン

  • 記号
    記号はしばしば視覚的な形や構造が強調されます。ピクトグラム(🚻、✈️など)やロゴなども記号の一種です。

  • 文字
    文字は、言語の音声や意味を表すための約束された形として機能します。形状は統一されていますが、デザイン性は主目的ではありません。

例外的なケース

  • 文字が記号として機能する場合もあります。たとえば、英語の「@」は文字でもありますが、電子メールアドレスなどでは記号として使用されます。
  • 記号が文字の一部として使われる場合もあります(例: 数式中の変数「x」)。

神代文字とナスカの地上絵

神代文字は日本古代の文字体系として、一部で神話や伝承に基づいたものだとされていますが、実際にはその存在についての確固たる証拠は発見されていません。もし神代文字が「文字」だと仮定した場合、ナスカの地上絵も何らかの象形的な文字や記号、またはコミュニケーションの手段として解釈できるかもしれません。

ナスカの地上絵は、広大な土地に描かれた巨大な図形や動物、直線などが特徴ですが、これらが文字としての意味を持っているかどうかは今のところ明確ではありません。しかし、文字や記号が文化やコミュニケーション手段として使われることは世界中で確認されています。ナスカ文化が文字を使用していたかどうかは分かりませんが、地上絵を文字として捉える視点は、文化的表現や記録の方法として一つの仮説として興味深いものです。

神代文字 - Wikipedia

ナスカの地上絵 - Wikipedia

さいごに

「絵」「記号」「文字」という分類は、それを書いた人々の文化的背景や発展段階を知る上で非常に重要な要素です。しかし、この分類を安易に行うべきではありません。それぞれの名称を付けることで一つの概念が形成され、それが実態とは異なる解釈を生む可能性があるからです。