はじめに
2017年に脳出血を経験し、右半身麻痺と複視が残りました。
その後の長期にリハビリをしてきましたが、記憶がはっきりしてきたのは2022年頃からだと思います。その頃からリハビリに本格的に取り組むようになり、体力も徐々についてきました。現在は、週に2回、3時間15分のデイケアと、週1回ほぼ同じ時間帯のリハビリ特化型デイサービスに通っています。デイサービスでは主に歩行訓練を中心に行っています。
現在の歩行訓練
デイケアでは杖を使った歩行訓練に取り組んでいます。
歩行訓練は、バランスを保ち、脚で体重を支え、重心移動を制御する非常に重要なリハビリです。「100mを15秒以内で走るわけでもないのに、なぜこんなに歩行訓練が必要なのか」と感じることもあります。しかし、失った機能を取り戻そうとすることそのものが幸せであり、希望につながると考えています。
リハビリを共にする仲間の中には、体の一部を失った方も多くいます。それぞれが抱える課題は異なりますが、前向きに取り組む姿勢から多くの励ましを得ています。
ここでは、私のリハビリや感じることを紹介し、考えをまとめたいと思います。
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歩行の基本的なフェーズ
リハビリをするために、歩行を2つのフェーズに分けて考えます。
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立脚期(Stance Phase)
- 地面に足をつけている時間。
- 体重を支え、バランスを保つ役割があります。
- 健側(麻痺していない側)の足がこの役割を担うことが多い。
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遊脚期(Swing Phase)
- 足が地面から離れて次の一歩を出す時間。
- 麻痺側の足をどのように動かすかが重要。
これらの動きは自動的に行われるため、普段歩くときは別のことを考えていることがほとんどです。重心を行きたい方向に移動させ、転ばないように足を出す動作が無意識に繰り返されることで、歩くという動作が成立します。このように自動化されているため、普段は意識することがありません。
歩行にはリズムが重要です。音楽を聴きながら歩いたり走ったりする人が多いのも、このリズムが関係しているのかもしれません。2足歩行は自転車に乗ることと似ています。自転車の場合、「右に行きたいから重心を右に移して、倒れないようにハンドルを右に向ける」といちいち考えることはありません。一度基本が身につけば自然に操作できます。同様に、歩行も生後半年ほどから練習を始めますが、自転車と違い、その記憶は全く残っていないものです。
杖歩行の種類
杖を使えば3点で体を支えることになるので、安定しますが、杖は補助でしかありません。歩くのは脚です。体重をかけるのは脚になります。私は歩行器を使っていますが、ある程度整地されている事が必要ですし、階段は使えません。
1. 二点歩行
- 杖と麻痺側の足を同時に動かします。
- 動きの順序:
- 杖を出す。
- 麻痺側の足を同時に出す。
- 健側の足を前に出す。
- 特徴: 比較的安定しており、歩行パターンが単純。
2. 三点歩行
- 杖、麻痺側の足、健側の足を別々に動かします。
- 動きの順序:
- 杖を出す。
- 麻痺側の足を出す。
- 健側の足を前に出す。
- 特徴: 安全性を高めたい場合に適している。
3. 四点歩行
- 両手に杖を持ち、杖と足を交互に動かします。
- 動きの順序:
- 杖を出す。
- 麻痺側の足を動かす。
- 健側の杖を出す。
- 健側の足を動かす。
- 特徴: バランスが最も取りやすい。
動きの分析と注意点
1. 杖の使い方
- 杖は麻痺側の反対側(健側の手)で持つ。
- 地面との角度は約15°~20°。
- 一歩を出す際に、杖の先が麻痺側の足と同じ位置になるように調整。
2. 歩幅
- 初めは歩幅を狭く設定し、麻痺側の足を無理に前に出さない。
- 足を引きずらずに床から軽く浮かせることを意識。
3. 重心の移動
- 体重を健側の足から杖へスムーズに移動させる。
- 姿勢をまっすぐ保ち、前かがみにならないように注意。
4. 麻痺側の足の動き
- 足を引きずらないよう、股関節と膝関節を意識して動かす。
- できるだけ膝を伸ばした状態でかかとから地面に着地する。
5. 視線
- 複視の影響がある場合は、杖と足元に集中しすぎないよう注意。
- 前方約2~3メートル先を見ることで、より自然な歩行ができる。
リハビリでの重点ポイント
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筋力トレーニング
- 特に健側の足と麻痺側の股関節・膝を鍛える。
- 例: 簡単なスクワットや足踏み運動。
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バランス訓練
- 片足立ちの練習(安全な環境で行う)。
- 平行棒や手すりを使って体重移動を反復練習。
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歩行シミュレーション
- 平坦な道、坂道、階段など異なる環境での練習。
- 初めは理学療法士や家族に付き添ってもらう。
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複視への対応
- 必要に応じてプリズム眼鏡や眼帯を使用。
- 動きのパターンを記憶する「身体感覚のリハビリ」を取り入れる。
小さな成功を積み重ねる
- 一度に長い距離を歩くよりも、短い距離を正しい方法で繰り返す。
- 疲れたら無理せず休む。
- 歩行補助器具や段差のサポートを活用。
さいごに
リハビリを成功させるためには、施術される本人の意欲が最も大切です。積極的にリハビリに取り組む姿勢が、回復への道を切り開きます。
また、自分に合った施設を選ぶことも重要です。
私の場合、隣の市にあるデイケアに通っているため、妻に送迎してもらいますが、そこのディケア施設が自分に合っていると思うからです。
多くのデイサービスは認知症の方が多く利用している印象があり、家庭的な雰囲気の施設も少なくありません。一方で、私が通っているデイサービスは運動中心のプログラムが特徴で、無酸素運動用の器具6台と、有酸素運動用の器具が4種類で計5台設置されています。それが認知がしっかりしていると思っている自分には合っています。こういたところに合う人は限られると思いますが、ある人には会っていると思います。どちらの施設もしっかりした人が利用しますので、スタッフは、非常に気を使っています。
身体に障害や機能の限界がある場合、適した方法や機材を選ぶことで、回復の可能性を最大限引き出すことができます。しかし、身体的な回復は望めなくなります。回復が望める場合は、忍耐強く諦めずに取り組むことも必要です。10年以上施設を利用している人も多いです。