考え方

あるの視点から

ウィスキー7:テイスティング

はじめに

ウィスキーのテイスティングは、香りや味わいをじっくり楽しみ、その個性を感じ取る大切なプロセスです。ウィスキーをより深く楽しむために、正しいテイスティングの方法を知っておくと役立ちます。以下は、ウィスキーのテイスティングに関する基本的なステップやポイントをまとめた内容です。

 

テイスティングを極める

1. テイスティングの準備

テイスティングをする際には、まず準備が大切です。環境や器具によってもウィスキーの味わい方が変わることがあります。

1.1 環境の整え方
静かな場所で行うことが理想です。強い香りや音、喧騒はウィスキーの繊細な香りや味を邪魔します。
自分の体調や気分も影響するため、リラックスしている状態が望ましいです。

1.2 グラス選び
ウィスキーの香りと味わいを最大限に引き出すためには、チューリップ型のグラス(グレンケアングラスなど)が最適です。この形状は香りを集める働きをし、より豊かな香りを楽しむことができます。

1.3 サーブする量
テイスティングでは、1回あたりに注ぐウィスキーは15〜30ml程度が適量です。少量でも香りと味わいを十分に感じ取ることができます。

2. テイスティングのステップ

ウィスキーのテイスティングには、視覚、嗅覚、味覚の3つの感覚を活用します。以下のステップで進めていくと、ウィスキーの複雑な特徴を捉えやすくなります。

2.1 視覚 見る
ウィスキーの色や濃さは、熟成期間や樽の種類に関する手がかりを提供してくれます。
色を見る: ウィスキーの色合い(琥珀色、黄金色、深い赤褐色など)を確認します。シェリー樽熟成の場合、濃い色になりがちですし、バーボン樽の場合は淡い色合いになることが多いです。
粘性を見る: グラスを傾けて、ウィスキーがどのように流れるか(「脚」とも呼ばれます)を確認します。脚がゆっくりと流れる場合、アルコール度数が高いか、熟成が進んでいることが推測されます。

2.2 嗅覚 香りを楽しむ
香りはウィスキーの特徴を最も明確に示す部分です。まずはグラスを軽く振らずに香りを確認し、その後少し揺らして開いた香りを再度確認します。

トップノート: 最初に感じる香りです。フルーティ、フローラル、スモーキーなどの香りが広がることが多いです。
ミドルノート: 揺らして香りを開いたときに感じる香り。キャラメル、バニラ、スパイス、チョコレートなどの複雑な香りが現れることがあります。
ベースノート: 最後に残る深い香りで、樽の影響を感じることが多いです。ウッディさやシェリーの甘み、煙の香りなどが現れる場合があります。

2.3 味覚 味わう
口に含んで、ウィスキーの風味をじっくりと味わいます。いくつかの異なる段階で味わいを感じ取ることが重要です。

  • アタック(最初の印象): ウィスキーを口に入れた瞬間に感じる味わい。甘さや辛さ、スパイシーさなどが感じられます。
  • ミッドパレット(口の中で広がる味): 味が広がり、ウィスキーの複雑なフレーバーが感じられます。フルーツ、ナッツ、スモーク、スパイスなど、様々な味が混ざり合うことがあります。
  • フィニッシュ(余韻): 飲み込んだ後に残る余韻がウィスキーの特徴を強調します。余韻が長いウィスキーは、複雑で高品質なものが多いです。

3. テイスティングを深めるコツ

テイスティングを通じて、より深くウィスキーを理解するためのポイントも紹介します。

3.1 水を加える
ウィスキーに少量の水を加えると、アルコールの強さが和らぎ、隠れていたフレーバーが現れることがあります。少しずつ水を加えて、味の変化を楽しんでみましょう。

3.2 ノートを取る
テイスティングの感想や感じた香り、味わいを記録することで、自分の好みやウィスキーの特徴を把握しやすくなります。後から比較する際に役立ちます。

3.3 比較テイスティング
同じ蒸留所の異なるヴィンテージや、異なる蒸留所のウィスキーを一緒にテイスティングすることで、ウィスキーの個性を際立たせることができます。シングルモルトとブレンデッドウィスキー、異なる地域のウィスキーなど、バラエティ豊かなラインナップで行うと、味覚の幅が広がります。

ウィスキーのフレーバープロファイル

ウィスキーのテイスティングを行う際に、一般的に見られるフレーバープロファイルを知っておくと便利です。以下はよく出会う味や香りのカテゴリーです。

フルーティ: アップル、ベリー、柑橘類、ドライフルーツなど。
スパイシー: シナモン、クローブナツメグ、ブラックペッパー。
フローラル: バラ、ラベンダー、ハチミツ。
ウッディ: オーク、シダー、バニラ、シェリー樽由来の香り。
スモーキー: ピートスモーク、トースト、焦げた木の香り。

まとめ

 私は50年前からオーセンティック・バーに通っています。1970年代当時、オーセンティック・バーはほとんど存在せず、主流だったのは『スナック』と呼ばれる飲み屋でした。洋酒を楽しむなら市中のホテルのバー、日本酒やビールを飲むなら居酒屋、小料理屋、料亭が一般的でした。ウィスキーは主に水割りで、スナックではボトルキープが行われ、客自身が水割りを作るのが普通でした。

オーセンティック・バーではボトルキープはなく、客が瓶の口を開けることもありません。それが少し異様に思えましたが、バーテンダーが全てのカクテルを担当し、客に瓶を見せても口を開けさせないのです。ただし、バーテンダーは酒に関する深い知識を持っており、その会話は絶え間なく続きます。そのおかげで、私のウィスキーの知識も徐々に増えていきました。今回、その経験を調べ直し、ブログにまとめました。少しでもお役に立てれば幸いです。