考え方

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衰退する日本経済

衰退する日本経済

 

はじめに

日本ではバブル経済崩壊後30年経った今でも、不況が続き、物価を考慮した賃金は上がらないままです。もっとも給与と

 

 

日本のバブル景気

 

はじめに

池上彰氏は、バブル景気についての記事を書いていましたが、私と彼は同学年でした。

彼は、なぜバブルが膨らみ、「ドル安」を実現できたのかについて解説しています。高級ブランドや高級車が飛ぶように売れ、日本が史上空前の豊かな国になった背景を説明しています。

私は名古屋生まれです。伊勢湾台風、バブル景気、東日本大震災は、深く記憶に残る出来事であり、時代の区切りとして使っています。

詳細な情報は こちらの記事 で読むことができます。

実際

発端はプラザ合意と言われていますが、その素地は日本国内で作られていきました。

 

 

 

1985年6月に発生した2つの殺害や逮捕事件が、バブル景気の始まりであったと言われています。これらの事件の首謀者は、互いに関係が深いとされています。彼らの人脈を含めて、現在も解決されていない特殊詐欺事件との関連性も指摘されています。

バブル期は1985年から1991年までであり、非常に異常な時代でした。40歳以下の世代には理解しにくいかもしれませんが、この時期には商品や資産が異常な高値で取引されていました。金銭感覚は現在とは大きく異なっていました。

シーマはバブル崩壊で売れ行きが不振となり製造が中止されました。

セルシオはその後、「レクサス」ブランドに生まれ変わり、その名を受け継ぐことになりました。しかし、バブル崩壊の影響でトヨタは「レクサス」ブランドを立ち上げざるを得なくなったと言われています。当時から格差社会が広がっており、「セルシオ」がよく売れたのは、そのソフトウェア技術も大きな要因でした。日産は技術力でトヨタより優れていると思われていました。現在、トヨタと日産の間に大きな差があると感じられますが、その原因の一つはソフトウェア技術への力の入れ方の差にあると考えられています。

 

 

夜遅くにはタクシーを捕まえるのが難しくなりました。多くの店が深夜12時に閉店するため、午後11時ごろから2時間ほどは、予約がない限りタクシーに乗ることが難しかったです。その時間帯では、1万円札をタクシーに投入して捕まえることが珍しくありませんでした。支払いの際には、釣銭をもらわないことが普通でした。

多くの人々は深夜2時までスナックなどで、時間を過ごすことが一般的でした。『億』という金額に驚く人はほとんどいませんでした。府中市の3億円事件は1968年(昭和43年)12月10日に発生し、それから20年が経っていました。
現在は銀行預金に金利が殆ど付きませんが、当時は国が金利を決めており、どこの銀行でも1年定期預金の金利は5.57%でした。銀行の窓口では、少額の残高でも「定期に切り替えませんか?」とよく勧められ、定期預金に切り替えると、かなりの景品がもらえました。
10年国債 金利推移
今のようにネットが一般的ではなかったため、ネットでの金融取引機関は存在しませんでした。株式売買の手数料は固定制で、どの証券会社も同じで、100万円以上の取引で1万円以上だったと思います。現在のSBI証券楽天証券なら、税込みで535円で取引が可能です。また、現在は取引単位が通常100株ですが、当時は1000株でした。額面5万円が正しい言い方で、ほとんどの株は1株50円でした。

 

 

確かに、当時は今ほど高価な株式はほとんど存在しませんでした。現在でも、対面式の証券会社とネット証券との間で手数料に顕著な違いがあります。この差により、旧来の証券会社が存続し続けることができます。特に高齢者の中には、ネットに不慣れなことが一因で、対面式の証券会社を利用することがあります。これにより、証券会社の人件費が賄うだけの収益を確保できています。ただし、これが信頼性を損なう一因となっているかもしれません。

 

年台 平均値 中央値
20 165万円 71万円
30 529万円 240万円
40 694万円 365万円
50 1,194万円 600万円
60 1,635万円 650万円
70以上 1,314万円 460万円

 

当時、私は個人事業主であり、週に1回銀行の担当者が集金に訪れました。彼らはよく「融資を受けて、株や土地を購入しませんか?」と提案してきました。確かに、提供している土地や株式の評価額は急速に上昇していました。国土の面積は一定であるため、地価は下落しないと考えられていました。最近では、土地の価格はその利用価値に応じて決まりますが、過去には鉄道などのインフラが存在しない山間部でも高額で取引されていました。

岸田政権は資産を増やす計画を採用していますが、日本人の投資に対する慎重さや警戒心は、バブル崩壊の記憶からくるものであると考えられます。バブル崩壊時に多くの人々が大きな損失を被り、それ以降もリスクを避ける傾向が強まったため、日本人の投資意欲が低くなったと思います。さらに、証券会社が個人投資家を重要視しなかったことも影響しています。

証券会社が個人投資家に対してリスクを最小限に抑える仕組みや情報提供を整備することが、投資への信頼を回復させる一環として望まれます。政府が証券会社への規制や監督を強化し、個人投資家を保護する政策を実施することで、市場の安定性と投資環境の改善が期待されます。

総括的に言えば、政府の資産増加計画は証券会社に資金を注ぐことではなく、むしろ個人投資家をサポートし、彼らが資産を増やす手助けをする方向に進むことが重要だと思います。

バブル景気では、「マハラジャ」「デイトナ」など大型のディスコではお立ち台が作られ、若い女性が踊っていました。大衆演劇では1万円札を花に見立てた御捻りが使われました。

 

後遺症

バブル景気の終焉に伴い、多くの金融機関が倒産し、再編が行われました。この過程は金融業界における大きな変革であり、超低金利、支店の統廃合、銀行で保険や金融商品を販売するなど、金融機関の合併や業態の変化が起き、現在もその影響が続いています。

この変革に対して、顧客を無視していると感じる人も多いかもしれません。これは、金融機関が自らの利益や業績向上を優先して、顧客のニーズやサービスに対する配慮が不十分であると感じることから生じる意見です。金融業界の変化が、一部の顧客にとっては不便や不満を生むこともありますが、業界全体の安定や競争力強化を目指す観点からは必要な変化とされることもあります。

料亭の女将が口先だけで2兆7700億円もの借金をできる時代でした。1千億円以上の債務を返済できなくなるケースが多数発生し、金融機関の倒産に至りました。

その後の30年以上の不況と東日本大震災が日本衰退の原因となっています。

まとめ

 

バブル景気の反省から、日本政府と金融当局は規制や監督の強化を行い、リスク管理を改善しました。しかし、肌感覚としてバブル景気を感じる人が少なくなっています。ユーチューバーやメディアではバブル景気を解かっていないと思う記事も多いように感じます。

最近、元財務官僚の高橋氏が「バブル経済はいい時代だったし、それが世界の常識なのに、抑えようと財政政策を間違えた。」と言っています。

彼は財務官僚であったので、なぜこの30年以上の間、好況にできなかったのでしょうか。

 

物価にはタイムラグがあります。また、年収が、億以上の人はたくさんいます。

年収は中央値の方が平均値より実感を表しています。

 

経済の衰退が悪いとは限りますせんが、日本経済の実情は知る必要が在ります。

ネットには、外国人が日本を絶賛する記事が多くあります。日本に着けばホテルに泊まります。そこへ行く価格や宿泊費が、安いのに感心します。街もホテルも治安が良く清潔です。

確かにそうですが、彼らの発言には外交辞令も含まれています。「japan as no1」とおだてられてバブル経済になりました。褒められればドーパミンが出て嬉しものですが、立ち止まって考えてみましょう。

 

実態

 

 

これまで、GDPアメリカ、中国に続き世界第3位を維持していましたが、2024年は円安の影響により、IMFの最新予測ではドイツに抜かれて第4位となる見通しです。

 

人口が2/3のドイツに抜かれるわけです。GDPはよく使われますが、国民の豊かさは一人当たりにする必要があります。

IMFの統計表から22年の10位までは下記に載せました。

2022IMF統計 世界銀行
名目GDP/人
順位 国名 単位:US$ ジニ指数 調査年
1 ルクセンブルク 126598 33.4 2020
2 ノルウェー 105826 27.7 2019
3 アイルランド 103311 29.2 2020
4 スイス 93657 33.1 2018
5 カタール 83521    
6 シンガポール 82808    
7 米国 76343 39.8 2021
8 アイスランド 74591 26.1 2017
9 デンマーク 68295 27.5 2020
10 オーストラリア 64814 34.3 2018

ジニ指数を載せたのは、収入に関しては平均値より中央値のほうが実感に近いのですか、GDP/人では中央値がないので、のその補完の為です。北欧の国が格差が少ないと思われます。

格差をみる

ジニ係数 - Wikipedia

 

実像

ここ15年間は国債金利が付かないことが解ります。本来国債は、売れるように金利設定しますので、市場が金利を決めることになります。しかし、日銀が保有し続けるので、発行する政府は市場を気にする必要がありません。ほとんど金利がなくても日銀が買います。この状態は15年程続く異常な事態です。黒田元総裁も「異次元」と異常である旨を語っています。中央銀行が介入するのは危機的な時だけです。

IMFの2022年の資料によると、一人当たりGDPでは日本は世界平均を下回っており、28位に位置しています。また、購買力平価では、台湾や韓国は日本より上位です。 

 

インフレ率を考慮して、円、ドル、2%(日銀の目標値)の

今世紀の状態をグラフにすると以下のようになります。

2000年の時1万円の価格の物は日本では、1万5百円、米国1万7千円、2%インフレでは1万5百円となります。アメリカ人にとって日本の価格は、本国の6割ほどです。

 

この図から米国は2020年以前にはインフレ率が2%を維持していることが解ります。インフレターゲット2%のもとになったと思います。

 

 

原因

GⅮPのデータはどこにでも載っていますが一人当たりとなると非常に少なくなります。人の幸福につながるデータは極端に少ないです。

 

国民が貧しくなった原因は何でしょうか。

 

一つには内閣人事局の存在で、官僚の人事を内閣が握っている事でしょう。これにより、内閣を批判すれば左遷される体制が出来ている事です。

安倍・菅を作りあげた官僚を恐怖で縛る鬼の人事制度…森友問題”功労者”を出世させ、ふるさと納税制限発案者を左遷した内閣人事局の功罪とは(集英社オンライン) - Yahoo!ニュース

人事局はキャリア官僚の横着無人ぶりの声により、できました。

 

リフレ派である黒田東彦氏が日銀総裁になって、金利を引き下げて、多額の資金を供給しました。

個人であれば、破産をしないように、その可能性があれば 銀行預金・土地などを処分します。負債に見合う資産がない人に銀行はお金を貸しません。

普通はお札=日本銀行券は日銀が市場を見て発行します。政府は税収しか収入がないため、それにより政策の制限がかかります。しかし、政府が日銀を支配すればお札を擦ればよくなります。

 

お金が増えれば人々は物を買うので景気が上向くはずでしたが、富裕層では、必要なものはすでに持っています。ブランド品などは宝飾品と同じで、無くても生活に困りません。だから、お金に余裕が出来れば投資します。

 

資産が少ない人には銀行がお金を貸しません。アイデアがあり、統率力もある人には高い利息でお金を貸しますが、それを見極める術が銀行にはあまり備わっていません。

上場株式などの平均配当利回りは2%程度です。

お金持にはお金が貯まり格差は拡大します。

日銀保有国債の含み損 10兆5000億円 2004年度以降で最大に | NHK | 日本銀行(日銀)

日銀の含み損は日本の存亡にかかわる大きな問題だと思うし、大雑把な予測は難しくはありません。ここに焦点が向かないようにしていると思うのは陰謀論でしょうか。

バブル経済時では税収が増え政策も増大しましたが、その後、経済が縮小しても、政策予算の縮小はそれに見合わず、公的機関の負債が増えていきました。

バブル経済時には、民間が借金をしていましたが、弾けてからは公共に負債が積み上がりました。借金は将来の資産で運営している訳で、個人の負債は相続税では差し引かれ、終わりますが、公的負債は相続資産の目減りです。(負債を少なくすることは、相続対策でもあります。)

日銀はマネタリズムを信じて国債を買い、市中にお金を流そうとしました。野党はMMTを経済理論としていて、これに強く反対しませんでした。今や国家の負債は1000兆円以上に達しています。金利を1%上げれば、利息だけで年間国家予算の9%に相当する10兆円の負担となります。金利を上げれば、既発国債の価格はその分下がります。そのため、低金利政策は変えられないのです。

ここに来て、ガソリン補助金です。国の負債を返す気は見られません。コロナ期など異常事態はもう過ぎています。

 

 

 


日本の負債は過去からの蓄積です。2011年3月の東日本大震災の影響で、負債が増加したのは仕方ないと思いますが、復興税として、色々な税に上乗せされています。2015年以降の経済対策は間違っていたと思います。現在の岸田政権や日銀が原因を作ったわけではありません。さらに言えば借金体質に慣れ切った国民のせいでもあります。

 

また、日本人は金融リテラシーが低いので株式投資をせずに、預金しているとも言われていますが、本当でしょうか。

バブル経済破局するまでは、株式投資をしました。

ただ、破局で大きな借金を抱えました。それに懲りて株式投資を控えたのです。

おわりに

 

日本の借金は一人当たり1000万ほどです。日本国民として生まれると1000万の借金を背負います。

国の借金、6月末で1255兆円 1人あたり初の1千万円超 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

最近の株高は、海外投資家が、買っているためだと言われています。負債の多さから日本の金利は上げることが出来ずに、円安は続くと見ているからでしょう。海外投資家は、株価をドルベースで見ます。日本の株価が低くなる、アメリカの株価より利益がいいと買っているわけですが、ここ2か月余は売り越しています。理由は何でしょう。

 

GDPとは、経済指標の1つでしかありません。

 

 

 

 

 

 

他国の給与に比べて、給与が上がらず、給与から引かれる税金・保険料・年金などが多くなり、消費税や物価上昇で出費が増えました。実質賃金が引き下げられてきました。

 

政府に対する批判は少なくなり、報道の自由度も現在世界68位です。

「安倍やめろ!」ヤジを飛ばした市民を報道陣の目前で排除 「権力はメディアを恐れなくなった」山﨑裕侍監督の危機感 (msn.com)

いまだに、日本技術力がすごいと言う人がいますが、データのアップデートがなされていないように思います。

「科学技術力の低下」になぜ危機感が覚えないのか 日本の地位は20年あまりで4位から10位に陥落 | 先端科学・研究開発 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

日本の技術革新力、世界13位のまま 人材面で伸び悩み - 日本経済新聞 (nikkei.com)

ジニ指数

世界の主要国のジニ係数(2021年)

ジニ係数

最後に

与党も野党も政策拡大は票に結びつきます。だから、国の借金はなかなか減りません。国債は国の借金に他なりません。金利を上げれば既発国債の価格は下がります。

日銀の国債保有額は5兆8776億円です。1%は6兆円弱で、国債金利を1%上げれば6兆円が必要です。増税はされるでしょうが、国の信用などで、打つ政策はあまり残っていません。

さらに、富裕層は株式なども保有していますが、保有していても税は発生しません。売買時の利益には所得税がかかりますが、他の所得とは分離されています。23年5月からの株価は大幅に上昇していますが、これにより、格差はさらに拡大しています。

 

日本銀行が保有する国債の銘柄別残高 : 日本銀行 Bank of Japan (boj.or.jp)