考え方

あるの視点から

宗教と文化の融合:日本とアメリカ

はじめに

現在、無宗教の人口が増加していますが、信者が最も多い宗教で着色された世界地図です。


日本においてキリスト教のお祭りや風習が根付いている背景には複数の要因が考えられます。

  • 文化的影響: 日本は世界各国の文化を受け入れる開放的な社会であり、外国からの文化や風習の受容が盛んです。キリスト教のお祭りや風習も、外国文化として受け入れられ、特に若者の間でポップカルチャーとして人気を博しています。
  • 商業的要因: クリスマスやバレンタインデー、ハロウィンなどのイベントは商業的にも大きなイベントとなっており、商業施設やメディアの露出度も高いです。特にクリスマスやバレンタインデーは、プレゼント交換やイルミネーション、イベント開催などが行われ、消費文化と結びついています。
  • グローバル化: 日本の社会はグローバル化が進んでおり、海外の文化や風習が容易にアクセス可能となっています。インターネットやテレビを通じて海外の文化が普及し、それに伴ってキリスト教のお祭りや風習も取り入れられるようになりました。
  • シンボリックな意味: クリスマスやバレンタインデーなどのイベントは、日本人にとって特別な日や恋愛や家族愛を象徴するものとして認識されています。そのため、宗教的な意味合いよりも、日常生活や人間関係の中で特別な瞬間を楽しむためのものとして受け入れられています。


以上のような要因が重なり、日本においてキリスト教のお祭りや風習が広く受け入れられるようになったと考えられます。

 

 

各宗教の信者数

  (各年12月31日現在)
西暦 法人 教師数 信者数
2013年 181,961 696,971 190,176,262
2014年 181,810 685,867 190,219,862
2015年 181,645 655,891 188,892,506
2016年 181,497 650,679 182,266,404
2017年 181,252 657,238 181,164,731
2018年 181,064 659,658 181,329,376
2019年 180,828 652,045 183,107,772
2020年 180,544 648,553 181,146,092
2021年 179,952 646,952 179,560,113
2022年 179,339 627,849 162,991,299

文科省のデータを参照して作成しましたが、法人の申告数であり、日本の人口を上回っています。子供や積極的な無宗教者を考慮すると、この統計の信頼性は高くはありません。

 

日本の宗教

信仰の対象

アニミズムは 自然界の様々な要素を崇拝する信仰であり、多くの神話では太陽神が中心的な存在として描かれています。これは、多くの文化で見られる共通の特徴であり、天照大神アポローン、ラーなどがその例です。

一般的に全ての宗教がアニミズムから発展したという考えられています。アニミズム多神教一神教に発展しました。一神教の例はユダヤ教です。ユダヤ教キリスト教イスラム教に引き継がれています。宗教はお互いに影響し合いながら発展しました。
私たち現代人は宗教を哲学的なものとして捉えていますが、それが主流になったのは200年ほど前からだと思います。それまでは技術と一体だったと思います。

生物学が未熟な時代には一神教では、人間は、動物の一種と墓が得ませんでした。これにより、人間中心の世界観が生まれました。このような考え方のもとに、人間を他の生物から分け隔て、支配するための理由となりました。過去には、他の集団や部族を狩猟の対象としたり、奴隷制度を正当化するために、他の種族の人間を「人間として扱わない」と考えました。科学の発展とともに、このような見方は、倫理的、道徳的に問題があると認識されるようになりました。
儒教や仏教が広まる以前、日本においてもアニミズムの信仰でした。江戸時代には、古神道として古代の信仰を復興する動きがありました。これは自然や祖先への畏敬の念を中心とした信仰であり、自然界の様々な要素に神霊が宿るという考え方が根底にありました。このような信仰は、日本の宗教や文化に深く根付いています。

信仰の対象となった山は各地に多数あり、三輪山・富士山・立山・御岳山・白山・月山などが有名です。修験道密教とも関係しています。
山は、それ自体が威厳に満ちているだけでなく、水の源泉としての役割も果たしています。川として流れ出ることもあり、雪崩や落雷、火山活動を起こすことも多く、温泉が湧けば噴火することもあります。恵みと禍をもたらす荒々しい存在とされていました。

修験道 - Wikipedia

富士山

人物神

祖先崇拝は、日本には縄文時代から存在していたとする説と、中国の影響を受けたとする説があります。日本では多くの人々が神として祀られています。しかし、明治以降は天皇が神(現人神)とされていたため、個人を神として扱うことは難しかったと考えられます。
明治維新によって天皇の位置づけが変化したと思います。廃仏毀釈は、神道天照大神一神教的にすると宣言したという事です。これは、キリスト教一神教で、政権運営に利用されていた影響からでしょう。天照大神の子孫とされた天皇を現人神としました。現在、大半の神社は祭神の一人として天照大神を掲げていますが、明治時代以降からだと思います。ただ、計算上は西暦1200年頃の日本の人口の10倍以上の私たちの祖先がいたこととなり、全ての日本人の祖先は天照大神となります。天皇天照大神率言うのは戦前の民法にあった家制度の考えが残っているからでしょう。
豊国神社

祟り神

疫病や災害も かつては 神の仕業と考えられて いました。そのような神々を祭り、霊を鎮めると同時に、大きな力を持っている 彼らから恵みを受けることを期待しました。天神様(菅原道真)も これに 含まれます。

祟り神 - Wikipedia

日本人の宗教観

宗教は、被害をもたらす自然現象への畏敬から始まりました。それがアニミズムであり、祭儀を通じて自らの力となると信じられていました。

仏教は宗教的な側面もありますが、経典には文字が登場し、寺院建築、仏具により技術も発展しました。その結果、文字を用いることと直線や直角が容易に表現できるようになりました。このように、新しい技術や文化でした。

日本の家屋では、茅葺屋根は竪穴式住居から発展しましたが、屋根に瓦や銅板が使われ、精密さが要求される寺院建築には高度の技術が必要で、短時間で習得できるものではありません。渡来人の存在なしには考えられません。 

日本には漢字以前に古代文字が存在したとする説がありますが、固有な日本語などに、漢字から派生したカタカナやひらがなが広く使われていることからも疑問が生じます。古代文字と言われるもの の多くは、一般には 文字以前の模様であったり、忍者の書物や藩札などで秘密保持や認証に使用されたものとは見なされています。

 

世界の信者数

世界宗教になるためには、第一に 対象を世界に広げる必要があります。3大世界宗教と言われるものは、キリスト教イスラム教・仏教です。ヒンズー教はインドの地域宗教とみなされます。インドには 他にも多くの宗教があります。仏教はヒンズー教の一派でもあり、インドではイスラム教は貧しい人々の宗教とみなされています。


世界の宗教別人口ランキング

順位 宗教名 信者数 備考
1 キリスト教  アメリ 230,000,000 カトリックが11億人
プロテスタントが約4億人
  ブラジル 180,000,000  
  ロシア 120,000,000
2 イスラム インドネシア 200,000,000 国によって戒律が大きく異なる
  パキスタン 180,000,000
  インド 180,000,000
3 無宗教     世界的に増加中
4 ヒンズー教 インド 830,000,000 ほぼインドのみの宗教
5 仏教 中国 240,000,000 タイは人口の9割が仏教徒

憲法には宗教と政府の分離を保障する第1修正条項がありますが、大統領が就任する際には「聖書」に手を置き、「神のご加護を」という言葉が加えられることが伝統となっています。これは非常に宗教的な行為だと考えられます。また、キリスト教原理主義ともいえる福音派アメリカ政治での発言力も強く、人口の22.5%を占め、共和党を支えています。

福音派は同性のカップルや妊娠中絶に反対し、進化論を否定する立場を取っています。

 

アメリカとキリスト教

アメリカ合衆国は信仰の自由を憲法で保障していますが、大統領就任式で聖書に手を載せる慣例が続いていることは、国の文化や伝統が宗教に深く根ざしていることを示しています。この現象には以下のような背景があります:

  1. 歴史的・文化的背景: アメリカ合衆国の歴史において、キリスト教は大きな役割を果たしてきました。多くの移民が宗教的自由を求めてアメリカに渡り、そこでキリスト教の教義が社会の基盤となりました。
  2. 政治と宗教の関係: 政治家にとって、信仰を公に示すことは信頼性や道徳的なリーダーシップを強調する手段となります。特にアメリカの多くの有権者が宗教的であるため、政治家が信仰を示すことは選挙においても有利に働くことが多いです。
  3. 宗教的慣習: アメリカでは、キリスト教的な慣習や儀式が日常生活に深く根付いています。例えば、クリスマスやイースターなどの祝日は国民の多くに祝われ、文化的な一部となっています。

日本の初詣や各種の行事と比較すると、似た点があります。日本では、神社への参拝や仏教の儀式が文化的な一部として受け入れられていますが、それを宗教行為として明確に認識していない人も多いです。アメリカでも、多くの人々が宗教的な行事や儀式を文化の一部として受け入れており、それが宗教的行為であるという自覚が希薄です。

このような文化と宗教の混在は、どの国でも見られる現象ですが、自覚する事が必要です。そのことで、はじめてその国の歴史や社会背景を深く知ることが出来ます。

アメリカ合衆国大統領就任宣誓 - Wikipedia

アメリカ合衆国に国民の4割は進化論を否定しています。

なぜアメリカ人の4割が進化論を否定するのか?~3つの理由を解説~ | ビジネス英語習得の本質

米国で進化論を信じる人が過半数超え:日経ビジネス電子版

進化論裁判 - Wikipedia

聖書無謬説 - Wikipedia

キリスト教「福音派」トランプ氏を熱狂的に支持するワケとは?(日テレNEWS NNN) - Yahoo!ニュース

アメリカの福音派は聖書は正しいので、それと対立する「進化論」はフェークニュースです。

「進化論」論争に見るアメリカの基盤――トランプ政策に煽られる文化戦争/藤本龍児 - SYNODOS

 

おわりに

宗教と生活はしばしば密接に結びついており、その境界を明確に分けることが難しい場合があります。つまり、生活習慣の中に実は宗教行事が含まれていることが非常に多いのですが、意識しないと分かりません。靖国神社に参詣する閣僚がいますが、もしこれに公費を使えば、公費を宗教に使ったことになります。生活習慣だから使うのは当然だと考える人もいます。しかし、異なる宗教の人には気になります。多くの信念を持つ人々が共存する社会では、他者の宗教的習慣や感情に寛容であることが必要かもしれません。異論が出るうちは、参詣に公費は使うべきではありません。

異教徒や異なる宗教の信者が、他者の宗教的な行事や習慣を尊重し、理解することは、寛容で多様性のある社会を築く上で欠かせません。そして、多様性が無くなれば、ホモサピエンスは滅びるでしょう。

宗教の起源の一つは自然への恐れです。科学が発達した現在でも大きな災害がしばしばあります。また、「死」は「生」が反対語としてあるから認識できます。宗教は「死」への恐怖への対処法でもあります。日本神話のイザナギイザナミの一節には、死への恐怖が描かれています。

宗教には形而上的概念が必要で、人類は宗教を持つことで大集団を築きました。

日本ではアニミズムが残存し、生活と宗教が密接に結びついています。一方で、国家神道など政治が宗教に介入することに反対する人も多くいます。

祖先崇拝は仏教的ではなく、むしろ世界的に見て特異なものと言えます。